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Ashley Henry x AyChibs Tribute To A Clash Of Cultures
ロンドンのジャズアーティスト、アシュリー・ヘンリーと多方面で活躍するクリエーターAyChibsのコラボレーションによる4つのビジュアルウォールを使用したパフォーマンスの製作の裏側をご紹介します。
初めて顔を合わせた2人のアーティストが、それぞれの才能を生かした3Dパフォーマンスを行う。その結果は人々を引き付ける美しいパフォーマンスとなりました。そういった結果を生み出すことがコラボレーションを行う最大の理由であることは言うまでもありません。アシュリーが創造する彼のジャズライフの過程を表現した楽曲「THE MIGHTY」は、ミュージシャンでありデザイナーでもあるAyChibsの手が加わり、煌びやかな化学反応を起こしました。言葉で表現するならば ”暗闇の中にある彫刻に光を当てて、いろいろな角度から見る美しさ” を映像で体感ですることができます。
「コラボレーションで最もエキサイティングなことは、これまで見たことのないものを体感できること」
-アシュリー・ヘンリー-
音楽制作、アニメーション、グラフィックデザイン、DJなど、多方面で活躍するノースロンドン出身のAyChibsにとって、クリエイティブな作業は、複数のトーチを一度に彫刻に向けるようなものです。彼の映像は音楽的、視覚的に考え完璧に計算され楽曲に埋めこまれているリズムの形に反応するアシュリーのイメージを映し出します。
「私の作り出したイメージは彼のトラックの上で躍動をしていました。誰かと一緒に仕事をするということは、相手に合わせ妥協することではなく、それぞれが何を求めているかを理解すること、私が相手の望みを叶えようとするのではなく、相手も私の望むことを理解する必要がある。」
-AyChibs-
アシュリーにとってコラボレーターとして適応し、成功する方法を経験するいうことはツアーキーボーディストとしてクリスティーン・アンド・ザ・クイーンズの洗練されたポップスのバックを務めたり、ジャズドラマーのマカヤ・マクレイブンや詩人のジョシュア・アイデーンなどをゲストに迎えてオリジナル曲を演奏するする彼の活動の核となっています。
「THE MIGHTY」は、2019年のデビューアルバム『Beautiful Vinyl Hunter』の華やかなフィナーレトラックで、ジャズ、ヒップホップ、エレクトロニック・ポップの様々な要素の融合で成り立っています。アシュリーは南ロンドンの活気あるジャズシーンで最もエキサイティングなプレーヤーの一人として注目され、この曲は彼の住む地域において起こっている”文化の衝突”へのリスペクトを表しています。
「道を歩いていると、日常的にたくさんの異なる言語が聞こえてくる、みんなが仲良く並んで歩いていて、バランスがとれているんです。この環境はいろいろな文化の様々な音が耳に入ってくるんだ。それぞれの音は一見ちぐはぐに聞こえるようでも調和が取れて成り立っているんだ。アートビジュアルもそれを表現しつつ、アーティストの自由を表現したかった」
-アシュリー・ヘンリー-
AyChibsは、この曲で表現されている文化をモチーフとした明滅するタワーブロックとゴースト顔のようなシーケンスで彼らの共通の故郷であるストリートサウンドと調和を表現しました。
「私はアーティストの背景や個性を表現するのが好きなので、事前に電話で様々なやり取りをしました。そこで彼はロンドンと出身地を表現してほしいと伝えてきた、欠けているところがあり、色彩豊かなイメージ。そこにミスマッチな私のスタイルに強く通じるものだと感じ、このプロジェクトにもぴったりだと感じたんです。」
その結果、FrenzyやWeyland McKenzieといった英国の若手ラッパーの為に作り上げたChibsのこれまでのビデオ作品よりも抽象的なものになっています。しかしテープのゆがみや欠損、シンメトリーなイメージ等、Chibsの特徴的な要素はいくつも感じられます。
Chibsが映像素材を製作する一方で、アシュリーはパフォーマンスの為、DAWで作られた膨大なトラックを調整しライブセットアップ全体をLaunchKeyに集約しました。「以前は、MIDIコントローラーにはあまり興味がなくて、普段は実際のキーボードを使っていました。でも良いコントローラーがあると何でも自由に表現できて、もっとプラグインを使ったアプローチをしたくなるね。」
撮影当日、最高のコラボレーション素材は11時間もの時間をかけ準備され、撮影の開始はChibsがまだPCの書き出しと戦っている最中でスタッフは既に準備を終えていたといいます。「皆はすでに撮影に入っていても、私の映像はまだ書き出し中だった、エクスポートにとんでもない時間が掛かっていたから。」
「THE MIGHTY」にはすでにミュージックビデオがありましたが、アシュリーにとって、この新しいなビジュアルを加えることで、楽曲に新たな一面を加えることができました。
「打ち合わせの段階でムードボード*が送られてきたのですが、それはただのイメージで、どんなものになっているかはっきり想像できていませんでした。でも、撮影現場の倉庫に入るとこの曲のテーマにぴったりなビジュアルが目に入ってきたんです。どんなコラボレーションでも信頼関係が最も重要な要素のひとつになるのです。始める前にプロジェクトの本質を理解し、自分自身を表現するための場所を作ることが重要です。時には 自分には見えないものが相手には見えていることがあるから」
-AyChibs-
*ムードボード:インスピレーションを共有する為、アイディアやコンセプトをデザイン化するもの